米国に持っていくカメラとレンズ(その1)

私は太陽を見るのに適した望遠鏡は持っていないので、米国旅行中の日食や天体写真はミラーレスカメラ(ニコンZ50)で固定撮影予定です。

天の川を撮るために2本新しいレンズを買いました。

1本目は、TTartisanの7.5mm F2.0です。対角で180度の画角という仕様ですが、全周魚眼のような写りではなく超広角レンズとして使えます。eBayで新品を$115で買ったので(日本だと最安22,000円位)、無限遠の焦点ズレなど心配だったのですが、ちゃんと使えてます。

TTartisan 7.5mmで撮ったタイムラプスはこちら↓。

もう1本は、星景写真のメイン機として選んだSigma 16mm F1.4。数年前から出ていたレンズで、最近Zマウント版が出ました。こちらはネットで6万円強で購入。

Sigma 16mmで撮ったタイムラプスはこちら↓。

 

以前から持っているレンズを合わせて、星景を撮るレンズは以下のように揃いました。

  • TTartisan 7.5mm F2.0 MF
  • Sigma 16mm F1.4 AF
  • Laowa 33mm F0.95 MF
  • Nikkor 50mm F1.4 MF
  • Nikkor 85mm F1.8 MF

固定撮影だと、7.5mm F2.0の45秒露出、16mm F1.4の20秒露出、33mm F0.95の10秒露出で、ほぼ点像に写せるので、星空の暗さに合わせて開放~1絞り、ISO800~3200あたりで撮れると想定してます。

(完全な点像にするためには上記の半分の露出)

日食写真には、500mm以上の望遠が適してますが、私の持っている中ではFマウントの55-300mmが最大。300mmだと以下のような月写真が撮れたので、これで日食も撮ろうと思ってました。

しかし、Fマウントの55-300mmにFTZを付けると全長150mm、重量も1kg近くなるので頑丈な三脚も必要になり海外に持っていくのが大変そうです。

今年だけでなく来年の皆既日食でも使うことを考え、55-300mmを売って、Nikkor Z 50-250mmに買い替えました。こちらは110mm、405gと小型三脚でもOKです。

金環食を撮影する際のフィルターは、最初ND400とND8などを組み合わせようと思ってましたが、ND100000というのがあるのを知りました。Nikkor Z 50-250のフィルター径62mmのND100000は売ってないので、62-58mmのステップダウンリングを使うことにしました(望遠側でしか使わないのでケラレの心配なし)。

金環食では太陽は完全には隠れないので、通常の太陽と同じく10万倍の減光が必要です。露出は以下を参考にしようと思います。

 handy table of exposure times and settings 

2024年の皆既日食では太陽が完全に隠れるので、全く違うフィルター、露出となります。部分日食から皆既日食で大きく明るさが変わるので、最初は可変のNDフィルターが良いかなあと思って調べていましたが、ネットで調べてみると可変NDフィルターは偏光ガラスを2枚重ねているので、太陽がシャープに写らないようです。こちらは追って、フィルターを購入していこうと思います。

米国で一番暗い夜空を求めて

前回のブログで、天の川が見える場所について書きました。その後も毎日のようにlight pollution mapで、光害の少ない(=暗い)夜空が見える場所を探してます。米国で一番暗い夜空は、テキサス州のBig Bend国立公園というのを読んだことがあり、調べてみると確かにlight pollution mapではclass1で光害がゼロです。

前々回のブログでは、金環食を見る場所をgooseneck州立公園に決めたことも書きましたが、金環食が見える地帯を辿っていると、ticabooという場所で金環食が見れて、しかもホテルが空いていることが分かりました!この場所は、かなり山奥の場所にポツンとホテルがあるだけで、周囲50kmには何もありません。google viewだとホテル前はこんな感じ(金環食が見える南東方向)。

そして、light pollition mapで、この場所を調べると。

class1で、Big Bendに近い、ほぼ暗闇でした。ここなら、金環食前夜に晴れていれば、最高の星空を見れそうです。ticabooなんて、アメリカ人でも絶対に知らない地名です。日本から初めて訪れた観光客になるかもしれません。

金環食旅行準備⑤ 天の川が見える場所

本ブログのタイトルは当初「米国に日食を見に行こう」だったのですが、日食以外にも自然の絶景や星空も見にいくので「米国に絶景と日食を見に行こう」に変更しました。

今回は星空、特に天の川を見る場所の選定です。西海岸は都会で星は良く見えませんが、10月の天の川は西方向で海沿いであれば西が暗い夜空も見れそうと考えてました。さらに詳しく星空を見る観測地を選ぶのには、夜空の暗さがマップ化されているLight Pollution Mapが便利です。

このマップでは以下の通り、夜空の暗さ(逆に言うと光害の少なさ)に応じて、Class1-9で色分けがされています。目安としてM33(さんかく座銀河)やM31(アンドロメダ大星雲)、Central Galaxy(天の川)の見え方が書かれています。

以下の通り関東地方を見ると、東京周辺はClass8-9ですが、秩父方面や那須、尾瀬などはClass3の場所もあります。

今回の旅行先から、まずは西海岸を見てみます。LA周辺は東京と似た状態ですが、北に上がっていくとCambriaからBig SurのあたりまでClass2の地域があります。Highway1は途中通行止めの場所がありますが、Carmelから1時間ほど南下すれば関東には無いレベルの星空が見えそうです。

次にLAの西側。宿泊予定のJoshua Tree国立公園のあたりはClass3-4ですが、その北側のMojave National PreserveのあたりはClass2です。この辺りにホテルは無いので、Barstowに宿泊すると東に1時間ほど走ってLudrowを超えればClass2の地域に入れます。

次に、日食を見ようと思っているMonument Valley周辺です。この中ではPage周辺が明るいですが、20分も走ればClass1-2の地域に行けそうです。Monument ValleyもVisitor Centorの辺りから離れてForest Gump Pointあたりまで行けばClass1です!

Bryce Canyonは、Visitor CenterやLodgeのあたりはClass2で、少し南下するとClass1に!Bryce Canyonのhoodoo(岩柱)と一緒に天の川が撮れたら最高です。

これらを元に、宿泊予定を立てました。このブログを書き始めた頃は1ドル130円だったのが、本日は140円となり、そもそも米国全体のホテル代も高騰している状態ですが、1部屋あたり最大でも200ドル以下、できれば100ドル以下のホテルにする予定です。22年前に、この辺りを旅行した際は、ホテル代・ガソリン・食費を合わせて1日100ドル前後でも済んでいたので、ドル建でも2倍、円換算だと2.5倍になっている感覚です。

金環食旅行準備④観測地決定&日程の失敗

前回の投稿から1ヵ月以上経ってしまいましたが、ホテル予約やカメラ機材準備などは着々と進めています。

金環食を見る場所については、前回書いた通りモニュメントバレー周辺でGoogle Earthなどを使って詳細な場所を探しました。I-163のForest Gump Pointも良いと思ったのですが、当日は車の行き来は多そうで路肩も広くないので、三脚を立てて撮影するのは少し落ち着かない感じです。結果として、グースネックス州立公園(Goosenecks State Park)に決めました。ここでは、ほぼ最長の4分35秒以上金環食が継続します。

ここは、日本のガイドブック等には全く乗っておらず、ユタ州のホームページなどでも少し紹介されている程度です。車あたり$5の入場料がかかりますが、何も施設はなく(駐車場のみ)、以下の写真のような景色が見えるようです。また、この辺りは晴天率がかなり高く乾燥しているので、金環食も良く見えそうです。

ホテルも調べていますが、金環食前日の10/13(金)のモニュメントバレー周辺は既に全て満室です。既に仮予約したGrand JunctionのKOA Campgroundはモニュメントバレーまで4時間30分かかるので、もう少し近くに泊りたいところです。(日食開始は9時過ぎ)

Travelocityで調べて、モニュメントバレーから車で約50分のBlandingで1泊127$、評価4.8/5のホテルを見つけて予約しました。ここなら、Complimentary breakfastを食べてから出発して、間に合います。

ちなみにKOAは$10の手数料を払ってキャンセルしました。ネットではキャンセルできず、現地に電話でお願いする必要があるのが少し手間でした。


で、ここまでは準備が進んだことですが、旅程を決めていく中で大きな失敗もしてしまいました。以前も書いた通り、今回は日食の他にも以下を予定していました。

  • アナハイムエンジェルスの試合を見に行く(可能なら大谷翔平を見たい)
  • 母校であるUCSB(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)を訪問する
  • グランツーリスモ7で走っているコースに行く(Willow Springs、Lagna Seca、Gran Valley Highway1)
  • Las Vegasの知人に会いに行く
  • 以前米国国立公園巡りで行けなかったAntelope Cayonに行く

全てを実現できるように旅程を決めていき、10/1LAX着、10/17LAX発としました。エンジェルスの最終戦は10/1本拠地で開催されることは調べていたので、10/1LAX空港からアナハイムに向かう予定でした。ところが、試合チケットを予約しようとしたら、何とこの日はデーゲーム!飛行機が13時に着くので、12時開始の試合はどう頑張っても見れません。格安航空券で、日程変更やキャンセルはできない(返金無)なので、策がありません。エンジェルスの帽子をメルカリで買ったりして盛り上がっていたのですが、あきらめざるを得ません。。。

次回以降、ドライブルートなどを紹介していきます。

金環食旅行準備③ 金環食を見るロケーション

旅行全体ルートがだいたい決まったので、まず一番大切な金環食を見るロケーションを確定させて、ホテルを予約したいと思います。金環食の観測地をあらためて、GreatAmericanEclipseで確認します。

金環食の継続時間は、キャピトルリーフ国立公園が4分30秒、モニュメントバレーが4分15秒です。

周辺を見てみると、ニューメキシコ州の最大の都市アルバカーキは帯の中心で、4分40秒以上続きます。アルバカーキは行ったことが無いですが、昔懐かし「アメリカ横断ウルトラクイズ」のバラマキクイズが行われた場所ですね。

私はMonument Valleyが好きで、これまで何回か行っている位なので、今回の観測地はMonument Valleyに設定します。近くに、フォレストガンプが走ったForest Gump Point ↓もあり、ここは4分30秒以上継続するので、こちらに行ってもいいかなと思ってます。

Forest Gump point

ここを中心にホテルを探しますが、予想通り金環食の前日はほとんど空室ありません。モニュメントバレーの中にあるThe View Hotelは、金環食の前日は空無し、当日は$329が1部屋空いてました。ここは、金環食前後でも同一価格なのがいいです。周辺のホテルは、ダイナミックプライシングで金環食前日は料金が一時的に上がっている所もありました。

私は以前国立公園を旅行した時は、KOA Campgroundsというキャンプ場のログキャビンに10か所ほど泊ってました。ログキャビンの中にベッドがあるだけですが、安価で気軽に使えて、大自然の中にいる雰囲気を楽しめます。リネンは無いので寝袋持参で、BBQセットも設定されている所と無い所があり、快適という感じではないですが、キャンプ経験の無い妻もそれなりに気に入ってくれました。

ただ、今回の観測地の近くにあるKOAはRVやキャンピングカー向けのサイトのみでログキャビンが無いものばかりでした。早めに確保しないとホテルも無くなってしまう可能性があるので、とりあえずRichfield KOA(キャピトルリーフから1時間20分)とGrand Junction KOA(モニュメントバレーから4時間30分)を抑えておきました。KOAは$10でキャンセル可能なのですが、Webでは受け付けておらず、キャンセルは現地に電話する必要があるのが面倒なところです。Grand Junctionは遠すぎるので、良いホテルが見つかったらキャンセルする予定です。

金環食旅行準備② ドライブルート

前回のブログで、Monument Valleyから金環食を見ることに仮決めしたことを書きました。次に、米国滞在の日程と行程について決めてきたいと思います。

せっかく行くので、日食以外でもやりたい事をリスト化してみました。

  • アナハイムエンジェルスの試合を見に行く(可能なら大谷翔平を見たい)
  • 母校であるUCSB(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)を訪問する
  • グランツーリスモ7で走っているコースに行く(Willow Springs、Lagna Seca、Gran Valley Highway1)
  • Las Vegasの知人に会いに行く
  • 以前米国国立公園巡りで行けなかったAntelope Cayonに行く

これらをGoogle Mapに落とすと、以下のようになりました(青いピン)。ざっと南北500km、東西1000km程度の範囲です。

私は20年以上前に、米国西部の国立公園を25か所回った際は、この範囲の5倍程度を25日間で10,000km走行しました。当時もマップ上に行く先を落として計画を立てたのですが、日本で北海道をドライブする以上に距離があり、国立公園間の移動に時間を費やしてしまいました。米国は、モンタナ州の速度無制限地域などを除いて、スピード違反は日本より厳しく、当時は1日ずっと運転しても最長で400マイル(640km)くらいだった記憶があります。途中立ち寄りながらドライブするなら、最大でも1日250マイル(400km)程度にする方が楽しめます。

で、ここからGoogle Mapでドライブルートと所要時間を出そうと思ったのですが、なかなか1か所だけドライブルートが繋がりません。サンタバーバラからHighway1を北上して、San Luis ObispoからCarmelまで、グランツーリスモのコースのGran Valley Highway1を走ろうと思っていたのですが、海沿いのHighway1を走らず、101経由でCarmelに行くルートになってしまいます。良く調べてみたら、Highway1は通行止めのようで、Googleはちゃんと迂回ルートを出してくれていたのでした。

Google MapのDriving Directionは、10か所程度の行先しか設定できないので、行程を3分割してドライブルートを表示してみました。

まずは、①ロサンゼルスからカーメルまで(748km、8時間15分)。

↓②カーメルからモニュメントバレー(金環食観測地)まで(1760km、17時間29分)

↓③モニュメントバレーからロサンゼルスまで(1358km、13時間25分)。

トータルで約3800km、運転時間が約40時間となりました。他にも寄りたいところはありますが、まずこれをベースに、日程やホテルを決めていきたいと思います。1日400km程度だとすると、これだけで10日間必要になります。

金環食旅行準備① 金環食をどこで見るか

2023年10月14日の金環食を見に行こうと思い立ちました。まずは、どこで見るかです。

この金環食は、米国からメキシコ、パナマ、コロンビア、ブラジルの広い地域で見ることができます。メキシコはカンクン近くで、カンクン観光も兼ねていくのも魅力的だったのですが、やはり一番行きやすい米国で場所を選定します。参考にしたのは以下のサイトです。

NASAの記事:観測方法や観測マップなど包括的に書いてあります。

GreatAmericanEclipse:世界各地での観測ポイントマップがあります。

(GreatAmericanEclipseの画像をトリミング)

これを見ると、私が過去に旅行した以下の場所で金環食が見れることが分かりました。

  • オレゴン州 Eugene(2001年観光で)
  • ユタ州 Capitol Reef 国立公園(2001年観光で)
  • ユタ州 Monument Valley(これまで数回観光で)
  • テキサス州 San Antonio(2018年会議で)

この中だと、晴天率が高いのはCapitol ReefとMonument Valleyで、どちらも赤茶けた岩山周辺で見る金環食は想像しただけでワクワクします。Capitol ReefとMonument Valleyの間は、車で4時間ほどで行ける距離なので、渡米後の天気を見て変更可能ですが、まずはMonument Valleyを第一候補として旅行プランを立てることにしました。

米国国立公園のページ Capitol Reef紹介

Navaho Nationのページ Monument Valley紹介

次は、旅行プランの計画です。

2023年の旅行日記&2024年の日食情報

2023年のアメリカ絶景・日食旅行は、10月1日から18日までロサンゼルスから西海岸沿いのドライブ、山間部での天の川、国立公園の絶景などを楽しみました。

17日間の総集編の動画は以下です。48分間ありますので、チャプターから見たいシーンを選択下さい。

2024年 4月 8日(月)の皆既日食は、以下の通り米国東部~南部で見れます。私は4月3日~22日の日程でアメリカ南部をドライブしながら日食や国立公園を見に行きます。